引越しは、習慣を変える手軽な好手

エッセイ

引越しが終わり、退職もなんとか無事に諸手続きを終え、3月から転職先で働きはじめた。

内定をもらってから2ヶ月以上経っていることもあり、ようやく新たな場所でスタートできるという気持ちが強い。

新しい環境にはもちろん不安もあるが、今のところ楽しみが勝つ。

ひとつひとつ新たなことを覚えたり、新たな仕事に取りかかる場面で、

「どうせここには長くいないのに覚えても……」

「ここで頑張っても評価されるわけでもなし……」

という気持ちにならないのは大きい。

すでに心が決まり、辞めるとわかっている職場でモチベーションを維持するのは思ったより難しかったし、何より楽しくなかった。

好きな仕事や嫌いな仕事、得意な仕事や苦手な仕事はどこにいてもあるものだが、最終的に前向きな気持ちで取り組めるかどうかでかなり違う。

心を殺さずに済むことを増やすのは大事なことだと痛感する。

通勤は短いほど良い

心を殺すと言えば、満員の通勤電車に乗らずに済むのはだいぶ救われるものがある。

通勤ラッシュはあるものの、やはり人権があるかどうかは大事だ。

舌打ちされたり、怒鳴られたり、肘鉄を喰らったり、ぶつかりおじさんに遭遇したり……そうした可能性が低いと心が安定する。

満員電車に乗り続けると、心がすり減るのと同時に、戦闘体制に入ることが日常になる。

それは言い換えれば攻撃性が増す時間が一定時間あるということであり、行き過ぎると性格が歪んでいくと思う。

心を無にして自分を物質化するか、心身を守るために周囲と同等の攻撃力を備えるか……。何かしら自身の性質に手を加えなくてはならない。

そんな不自然な状況はストレスそのものだし、馴染めない人は長くは続けられない。

仕事場につけば戦場の人もいるというのに、そこに辿り着くまでにもう一戦あるのは辛すぎる。

そういえば以前読んだ、鈴木祐著『科学的な適職』には、「通勤時間が長いと太って離婚しやすくなる」というデータが紹介されていた。

百害あって一利なしだ。

職場も通勤も避けては通れないし、気合を入れないといけない場面はあるものの、できるだけ穏やかな気持ちで追い込まれずに進む時間を最大化したいものだ。

環境を変える大切さ

転職に伴う引越しで、住環境を変えたことも良かった。

前の家は3年以上住んでいたし、県を跨ぐ引越しは実に10年近くしていなかった。

大阪と京都では、同じ近畿でもかなり市内の印象がちがう。環境に依存して意外にも習慣は変化する。

マンネリとか退屈をしないというのは楽しさにつながるから、何かしら環境を変えるというのは人生の充実に重要だと思う。

職場に加えて住環境もとなると、ガラリと環境が変わることで日々の習慣ごと変えやすいし、心機一転気持ちも切り替えられる。

鴨川があるから自然に触れる習慣をつけようとか、サウナが近いから通ってみようとか、自転車に乗る機会を増やそうとか——これを機に取り入れたい良い習慣を定着させたい。

ちなみに私はこれまで、朝早くにジムに行ってから会社に行っていたが、その習慣をやめた。

過度な朝方は、体力的に無理を感じることがあったからだ。

前職より仕事が終わる時間が少し早く、通勤も短くなったため、就業後の時間を充実させようという気になれた。たった30分、たった1時間の違いでも、余裕が生まれると思考が変わるようだ。

職場がほどほどに近く、ゴールドジムはめっぽう近い。そしてそこそこ便利だけれど電車の騒音に悩まされない今の立地は、結構気に入っている。

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