転職に伴い、この春、京都に引っ越しをすることになった。
学生以来、およそ10年ぶりとなる懐かしの京都生活。
酸いも甘いも経験した土地への、色々な感情が複雑に混じり合うが、それらに浸る間もなく日々は過ぎていく。
年明け早々、退職手続きと並行して、引越し先を探さなくてはならない。
現職では借り上げ社宅に入居していたため、物件探しや契約といった頃な手続きや諸経費はまるっと会社任せだった。
もちろんその分、物件の選択肢の幅は狭く、希望の場所に住めるわけではなかったため、不満も多少なりあった。が、有り難い制度であったことは確かだ。
転職先は引っ越しの補助制度はあるが、社宅制度がないため、自由に物件が選べる。
代わりに、賃貸探しから見積もりや契約まで、すべて自分でしなくてはならない。
学生の頃以来の、久しぶりの賃貸探しということもあり、選択肢が多いことも含め、少し戸惑っている自分がいる。
何といっても時代も違えば物価も違う。
軽く計算してみると、引っ越しの初期費用だけでもかなりのものだ。
賃貸の初期費用は、現在の相場をべたところ、家賃の4~6倍程度は普通にかかるらしい。
関東と関西で大きく異なる制度のひとつに、敷金・礼金の文化がある。
関西園は礼金の文化がある代わりに、契約更新料を徴収する制度がない場所がほとんどだ。
唯一と言っていい例外が、京都だ。
2年おきなどの更新制度を取り入れている貸主が多く、さらには礼金制度も健在の物件も多い。最近では少しばかり敷金・礼金ゼロをうたうところが増えてきたようだが、それもごく一部だ。
なんだか二重に取られているようで、損した気分になる。
京都は大学が多く、どこもかしこも学生街だ。
賃貸の回転率が高いので高くても人が入るし、必然的に定期的な儲けがあるのだろうが、それにしても諸費用の項目に首をひねるものも散見される。
例えば、敷金ゼロの物件で入居時にハウスクリーニング代がかかるのは納得がいくが、敷金を徴収するのにもかかわらず、入退居時のクリーニング代を見積項目に挙げているところも少なくはない。
……もう本当、どういうこと?
正直、敷金の意味を疑いたくなってくる。
大手の、特に京都のように学生の多い町の仲介業者は、こういった高い手数料を取ることが本当に多いようだ。強気な商売だ。
6万の家賃でも、初期費用が30-40万ほどかかるのだから笑えない。
ちなみに、初期費用の項目を列挙すると以下のようになる。一般的な項目は支払い必須のものもあるが、交渉次第で値段が変わったり無くなる項目もあるらしい。逆にその他の項目は、支払わないこともできるとされているが、大家さんとの関係を考えると断りづらいと思う人も多いだろう。
【一般的な項目】
- 敷金…相場は家賃1ヶ月分。退去時の修理費に使われなかった分は、払い戻される。
- 礼金…相場は家賃1ヶ月分。京都を除く関西圏でよく見られる。
- 前家賃/家賃の前払い…家賃1ヶ月分。
- 仲介手数料…借主と貸主あわせて家賃1.1ヶ月分と法律で決まっているので、0.55ヶ月分以上支払うことが多い。
- 火災保険/損保…相場は1-2万円。
- 保証会社加入料…家賃1ヶ月分。
【その他項目】
- ハウスクリーニング費用…相場は5万円以上。7万を超えるものもあり、内訳は謎。(そもそも敷金払う物件は、そこから賄ってくれませんか、無理ですかそうですか)
- 安心入居サポート料…相場は1-2万円。(管理会社や保険会社の存在意味とは)
- 消臭抗菌コート費用/消臭抗菌作業費用…相場は1-3万円。(これはハウスクリーニング代ではないの?だから敷金使って)
- 簡易消火器費用…相場は1-3万円。(火災保険とか管理費から賄えないのかな?)
- 書類作成費用…不動産屋に支払う費用で稀に見かける。相場は1-3万円。(よくわからない費用代表。何の書類なのかもわからないし、わざわざ別に書く必要がわからない。そのうち見積もり料、印刷代、雑費とか言ってどんどん請求項目増えそうで怖い)
こうして列挙すると、最近できたような見知らぬ項目が多すぎるし、疑問は深まるばかり。
というか、敷金・礼金などの当たり前に感じている項目だって、改めて見直すと謎に思えてくる。
歴史が古く、関西圏に根付いている礼金だって、関東大震災における居住地の不足が発端だというし、今の時代、とくに居住地が潤沢な場所で本当に必要なのだろうか。
今後、ますます賃貸価格は上がると言われているし、何かにつけてこうした初期費用項目も増えていきそうで恐ろしい。ぼったくられていると知らずにぼったくられるのが何より怖い。
良い物件が探せるといいのだが、そのためにも勉強が必要だ。これを機に、不動産についての本を読むのもいいかもしれない。おすすめの本があればぜひ教えてもらいたい。
ちなみに、安く良い物件に住んでいる私の友人らは皆、親戚や知人などの不動産関係者に斡旋してもらっていた。
内情をよく知り、仲介料も不要なオプション価格をつけずに紹介してくれる人との繋がりが、何より安心して賃貸を探すコツなのかもしれない。