先日、小学館から新しく刊行された文芸誌がある。
『GOAT』という名のその文芸誌は、愛らしい表紙と豪華な作家陣のラインナップで私の目を惹いた。
2024年11月27日発売だが一時期は品切れになっており、発売日から2週間以上経ってようやく手元に届いた。
小説に詩に対談にエッセイにと盛りだくさんだ。話題の作家を広く知るという意味でも、文芸誌や雑誌というのは勉強になる。
……しかし作家ラインナップを見た後に、愛らしい「山羊」のキャラクターとイノセントな「白」を基調とした表紙、加えてテーマが「愛」というのを見直すと、なんだか作りこまれすぎていて、かえって隠すべき「悪魔的な黒い何か」を強調しているようだと、裏を読みたくなるのは私だけだろうか?
実際、表紙をめくって最初に掲載されている西加奈子さんの『ディヴァイン』だけ読んでみたが、短編小説としてとても良かったのと同時に、この予感が確信に変わるような作風だと感じた。
良い意味での違和感や二面性のようなものを、この一冊を通して味わえたら嬉しいが、もしかすると私が素直に文芸誌の作風を受け取れていないだけかもしれない。
コロナ禍に購入した雑誌『WIRED』
ともかく、文芸誌や雑誌というのはたまに買うととても面白い。過去にも何度か表紙買いのようなことをしたことがあるが、後悔したことがない。
今でも手元に残っている好きな雑誌に、2020年コロナ禍に発売された『WIRED』のvol37がある。
ウィリアム・ギブスンに始まる豪華SF作家のラインナップに思わず購入したが、改めて見ても素敵だ。久しぶりに手にとってみて、また読み返したいと思った。(というかそもそも途中までしか読んでいなかったような)
見た目も良い。置いておくだけで部屋がおしゃれになる気がする。
紙の素材や色やデザインやサイズといった装丁を含め、文庫やハードカバーのアンソロジーなどとはまた違った良さが雑誌や文芸誌にはある。
時流を映し、名前だけ知っていて読んだことのない話題の作家とも出会える。最後まで読まなくても、インテリアとしても見栄えが良い。良いことずくめだが、手に取りにくいものが多いのも事実だ。
五大文芸誌などはやはりハードルが高いし、なんとなく一見さんお断りみたいな雰囲気を感じてしまう。読んだことない週刊連載の漫画雑誌を読む時に感じるハードルに近い。続き物の一部だけ読んでいるような罪悪感と部外者感があるのだ。
そういったものをあまり感じさせない特集やテーマのものだと、幾分手に取りやすくなる。あとはやはり堅すぎない表紙であることも重要だ。
とはいえ、あまり苦手意識を持たず、定期的に雑誌や文芸誌にも広く手を出していきたい。何年か後に見返して、まるで古いアルバムのようにその時代を思い返せる好きな作品が手元にあるのは、豊かだと思う。
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