本を語る時間【誰かの何かを救った本20選】

エッセイ

人と会う時、あまり予定をハシゴすることはしないのだが、今日は珍しく昼と夜に別の集まりの予定が入っていた。

なぜかどちらの集まりでも、「本」の話になった。

若い頃に読んだ本、好きな本、最近読んだ本など、皆が思い思いに本について語る時間が私は好きだ。

誰かにおすすめするでもなく、その本にどんな思い出や気づきや感想があるのか、その人が熱量を持って話をするのを聞いているとつい読みたくなる。

特に、読んだことのない著者の本を面白くプレゼンされてしまうと、もうだめだ。

最後の足掻きでタイトルを調べ、「まぁ、装丁を見てから考えても遅くないし……」などと思うのだが、見た瞬間に「あ、これ絶対面白いやつ」と思ってしまいなんの抵抗にもならないこともある。

こうして積読が増えていくわけだが、昔ほど罪悪感もない。

積読がたっぷりあるのは自分の読書欲や好奇心が枯れていない証左なのだと、最近はまるで自分の今の関心ごとのインデックスのように本を積んでいる。

読んだ本もまだ読んでない本も、私の人生の足跡になり得ることに最近気づいた。

誰かの何かを救った本

今日会ったのは、年下から年上まで、私よりも才能ある研究者ばかりだったが、皆それぞれの年齢や場所や立場で踏ん張り、それぞれの悩みを抱えていた。

何かを求めて本を読む人もいれば、悩んでいるのに最近は仕事ばかりで本も読めなくなったと嘆く人もいた。

10歳ほど年下の子が、「学生時代は本ばかり読んでいたのに、今はすっかり量が減ってしまった」と言ったが、その理由を「大人になって、外の世界とつながる方法が本以外にあることを知ってしまったから」と言っているのが良かった。

仕事に趣味に、彼女の生活は私から見ても1日が24時間じゃとても足りないだろうと思うほど、充実している。

大人になるにつれ、楽しいことが本以外にもたくさん出来るのは素晴らしいことだと思う。本との付き合い方を一度知った人は、またいつでも戻ってこられるから離れる時期もあっていい。

彼女が世界を広げ、悩み事を抱えていつかまた戻ってきた時に、頼る先に本という選択肢が消えることはない。それは素晴らしいことだ。

今日あった人たちは皆、過去か現在で本に救いを求めたことがある人ばかりで、読んだ本を頼りに出てくる過去のエピソードを含めてその人を知れる時間だった。

今日話題に出た本を以下に列挙しておく。

教科書で若い頃に読んで忘れられない作品から、仕事に役立ってほしいと願いながら読んだ新刊まである。漫画や絵本も一部含まれているが、誰かの考えを変えたり、誰かの何かを救った本だ。

教科書で読んだ忘れられない本

  • 中島敦『山月記』
  • 夏目漱石『こころ』
  • あまんきみこ『ちいちゃんのかげおくり』
  • 三木卓・新野めぐみ『えいっ』

人生を変えた本

  • 江國香織『つめたいよるに』
  • 江國香織『犬とハモニカ』
  • 岡本太郎『自分の中に毒を持て』
  • 湯本香樹実『夏の庭』

最近唸ったすごい作家

  • テッド・チャン『あなたの人生の物語』
  • ケン・リュウ『紙の動物園』
  • ハン・ガン『ギリシャ語の時間』
  • 山口つばさ『ブルーピリオド』

考え事をしたい時に読む本

  • マルクス・アウレーリウス『自省録』
  • デカルト『方法序説』
  • セネカ『人生の短さについて』
  • ショーペンハウアー『幸福について』

クリエイティブな仕事がしたくて読んだ本

  • 荒木飛呂彦『荒木飛呂彦の漫画術』
  • 荒木飛呂彦『荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方』
  • 村上隆『芸術企業論』
  • 藤田和日郎『読者ハ読ムナ(笑)』

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