現在ゆるく転職活動中の私は、先日また面接を受けた。
Webでの短い面接で、面接官も少なかったので、人前で話すのがあまり得意ではない私もあまり緊張せずに進められた。合否に関係なく、ストレスなく面接をこなしていけるのは重要だ。
一回一回死ぬ気でやっていたら、体がもたないし数も打てない。転職活動を始めてすぐの頃よりは幾分、一回の面接にかかるコストが減ったと思う。
慣れとは鈍くなることでもあるが、こういう時はありがたい。
転職活動における「失敗」とは何か
転職活動における成功について考えていた時に、「失敗」についてはあまり考えたことがなかったと気づいた。
転職活動をしていると、まるで面接に落ちることや、内定をもらえないことが失敗のような気がしてしまう時がある。もちろん、それは間違っている。
縁がないところ、今より幸福に働けない会社なら、落ちていいのだ。
何かよくわからないものに急かされて、「とにかくいい条件の会社にいつまでに就職しよう」と息巻くと、余裕がなくなり無理をすることになる。
それはおそらく、結果のために耳触りの良い嘘で固めることであり、面接官にだけでなく自分自身にも多くの嘘をつくことになりかねない。
理想ばかりを優先し自分に合わないことや無理ばかりすると結果的に不幸になる、というのが私が経験から学んだことだ。
もちろん、失業中だとかはっきりとした急ぐ事情があるなら別だが、縁がないとどうにもならないもので急ぐのには限界がある。今から急にスキルがつくわけでもなければ、経歴が増えるわけでもない。
転職は働きながら行うのだから、心身の健康を損ねずに進めることは肝要だろう。
面接に落ちることよりも、結果を急いだせいで冷静な判断を欠き、本当に選ぶべき自分に合った会社を選べないことが、転職活動における最たる失敗だと思う。
転職軸も、自分軸を知ることだった
最近、一般的に挙げられる「会社の良い条件」が「自分を幸せにしてくれる条件」ではないと改めて痛感する。
大企業だからといって業績が良いところばかりではないし、長く楽しく働けるわけでもない。
アットホームな雰囲気だからといって、人間関係が自分に合うとも限らない。
給料やネームバリューがあっても、激務だったら私は幸せにはなれないのだ。
給料の必要最低額や通勤可能な場所の範囲など、あらかじめ決めておくべきものもあるが、それ以外は「転職して幸せになること」以外にこだわる必要はないと思う。
ひとり身で気ままな私としては、最近の転職活動の軸はもっぱら、「居心地のいい職場探し」といった感じだ。
生活の1/3かそれ以上の時間を過ごす職場。嫌い、辛い、苦しい、ではたまらない。
あまり結果に一喜一受せず、淡々と転職活動を続けようと決めたのは、しないで今の職場に不満や不安を持ち続けるよりは、格段に心理的に前向きな状態を保てるからだ。
それでたまたま居心地が良い場所を見つけられたら、そこで働けばいい。例え2年でも3年でも、その間幸せならいいと思っている。
これから先ずっと働けて、大企業で福利厚生があって給料が良くて通いやすくて……と一般的に良いとされている条件で考えていた時より、そのくらいに構えるようになってからの方が格段に転職活動が楽になったし、「自分にあった幸せ」に向かっている実感がある。
こう思えるようになったのは、最近の読書の影響が大きい。
最近読むどの本からも、「ありのままの自分で生きなさい」と言われている気になるから不思議だ。
イビツでも、過不足があっても、そのままの存在で完成形を目指すこと。
これは努力をしないとか、変化や成長を拒むということではない。
自分の特性の延長線上にあるものを求めて努力するのはいいが、自分自身をねじ曲げ、否定し、偽って、その結果苦しむことは努力ではないのだ。
それはただ健康を害するだけで、幸せには決してつながらない苦労の道だ。
本質的に手に入らない特性のために自分を変えるのは、努力ではく自分を痛めつけること——これはふとした時に忘れそうになるので、次回のためにも何度でも言っていきたい。
本に学ぶ「良い仕事環境」
適職や働き方についての本をいくつか読んで、説得力のある「重要視すべき職場の条件」というのは限られていると感じる。
最もよくまとまっていたのは、鈴木祐著『科学的な適職』という本だ。
この本には、仕事の幸福度・満足度を決定する7つの徳目が記されている。
- 自由:裁量権はあるか?
- 達成:前に進んでいる感覚は得られるか?
- 焦点:自分のモチベーションタイプにあっているか?
- 明確:なすべきことやビジョン、評価軸はハッキリしているか?
- 多様:作業内容にバリエーションはあるか?
- 仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?
- 貢献:どれだけ世の中の役に立つか?
もしもこれら全てが足りないのなら、今すぐ転職活動をすべきだろう。
特に1番の「自由」と6番の「仲間」は大事だと書いてある。労働時間の選択権や仕事のペースなど、裁量権はあるほど良いし、職場に友人が3人いるとあらゆる満足度は跳ね上がる。
著者は、煎じ詰めれば「その会社で働く人を好きになれそうか」という基準だけで職場を選ぶのも間違いではないとまで言っている。
以前紹介した『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』には、労働者が「人と仕事のミスマッチ」をもっとも多く経験する分野が6つ紹介されていたが、そこにも「裁量権」と「コミュニティ」が挙げられていた。その他も、7つの徳目と重なるものが多いと感じる。
仕事の自由度と働いている人だけはしっかりとチェックし、あとは余裕があれば見定めればよいだろう。
給料については諸説あるが、400~430万円を超えると幸福度を5%上げるためにさらに400~430万円必要だと『科学的な適職』には書かれている。500万円くらいまではお金を最優先しても構わないが、それ以降はほかの条件と天秤にかけた上で、しっかり見極めた方が良さそうだ。
見極める場所が絞れ、自分が大事にしたい点がハッキリすると、面接の場が「試される場所」から「お互いの価値観を知る場所」という感じがして良い感じに肩の力が抜ける。
次の面接で出会った人たちが、友達になれる人だと良いと思う。
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